2015年2月24日火曜日

生まれて初めて絵画を購入した。気になっていた作家のものなので、とてもうれしい。実物を見ずに買ったので、どうかな、と思っていたけど、すごく良い絵だった。例えば、その作家の絵が美術館やギャラリーにいくつかかけてあっても、その中でも気に入るだろうと思う。お金ないのに、作品を集めるのは少しくせになるかもしれない…作品によく合う額を作る技術が必要。

Swiss InstituteでやっていたDavid Weissの展示がすごく良さそうだった。Peter Fischliと組む前の1968年から1979の作品。 http://www.swissinstitute.net/exhibition/david-weiss-works-1968-1979/

今度David ZwirnerであるBlinky Palermoの展示も気になる。レアな作品が展示されるみたい。カタログが出たら欲しい。 http://www.davidzwirner.com/exhibition/palermo-works-1973-1976/



2015年2月12日木曜日

変身

「すべての仕事は売春である」とJ・L・Gも言っていますが、私もそう思います。然り。
それ、をそうと思っている人、知らずにしている人、知らんぷりしている人、その他、などなどがいますが繰り返します。
「すべての仕事は売春である」と。
そしてすべての仕事は愛でもあります。愛。愛ね。


岡崎京子「pink」(1989年9月マガジンハウス刊)のあとがきより


1月3日、夕方、門司港発のフェリーに乗って大阪へ。時間は12時間ほどかかる。夜行バスよりはずいぶん楽だし、値段は7000円くらい。慣れるとそうでもないのかもしれないけど、楽しさもある。帰りはLCCで3000円くらいだったけど、年始の値段を比べるとフェリーのほうが安かった。

大阪行きの目的は、女流棋士の新春イベントに参加するため。将棋は、よくわかっていないながらもまず純粋に駒が動くことが面白く、ここ2年ほどよく見ている。棋士の所作や、盤面を上から写した映像にぬっ、と手が出てくるところも面白い。向かい合い進む駒の動きには、地上から天井から植物が伸び絡まっていくようなイメージもある。

マイナビ女子オープンの中継ブログに山根ことみさんの写真が載っていて、その写真にとても惹かれた。首の傾げや、斜めに落ちた肩の線、とりわけ、逆手にした左手を軸に膝や床に体重を預けている姿、ひねった身体が気になる。以前、のぶえちゃんの展示について書いたことや、その時に少し理解が進んだように思うリヒターの『ベティ』が参照されて思い浮かんだ。わざわざ大阪まで、とも思っていたんだけど、これは一度実際に将棋を指すところを見てみたい、と思い遠路はるばる大阪行きを決めた。(…と、こんなことを書いておきながらも、山根さんがかわいい、というのもある。ファンになっている。)http://hellotothedistance.tumblr.com/post/103205207523

チケット代は5000円。それに加えプラス2000円で対局を近くで見られ、記念の写真を撮ってもらえるというスポンサー席もとる。棋士のサイン色紙や扇子が販売されておリ、山根さんの「自琢」と揮毫された色紙を購入。3000円。アイドルのファンもこのようなんだろうな、と思う。

イベント中は自由に写真を撮ってもよかったので、参加者は皆おおいに撮っていた。せっかくだから、と自分も撮っていたんだけど、本当にアイドルの撮影会のようで、女性を「消費」しているような、何か少しもやもやした気分になる。その時に思い起こしたのが、ゴダールの「すべての仕事は売春である」という言葉で、とはいってもこういった売春の仕方(身の切り方、仕事の仕方)は女流棋士のものではないよな、と思う。女流棋士と一緒にチェキを撮ってもらえる、一枚1000円というのもあった。たくさんの人が一人で何枚も撮ってもらっていて、すごい。それは外から眺めるだけに。撮影する女流棋士もすごく手馴れていて、たくましいとも思ったし、こういったことでイベントが成り立っているんだろうけど、憧れの人たちにはしてほしくないような気もした。

対局は20秒将棋。熱戦もあり、どの対局も面白かった。早指し戦なので、目当ての深く考慮している姿は見られなかったのが少し残念。晴れ着姿なので身体のラインも隠されている感じ。ただ、袴の脇のスリット部分(名称がわからない)から着物の色がのぞくところがとてもきれいだった。秒読みが切れる寸前の逡巡、慌てる様子も印象に残っている。

対局のほか、トークや女流棋士との指し初めなど盛りだくさんで、とても良い一日になりました。女流棋士の方たちは本当に華やかできれいだった。こういう日くらいは自分もきれいな格好をしたいな、と思う。帰りに女流棋士カレンダーと棋譜のコピー、自分のような遠方から来た人にはドライフルーツの詰め合わせをお土産にいただいた。心遣いも含め、すごくうれしかった。

最後に、冒頭の引用の続きを。

“愛”は通常語られているほどぬくぬくと生あたたかいものではありません。多分。
それは手ごわく手ひどく恐ろしい残酷な怪物のようなものです。そして“資本主義”も。
でもそんなものを泳げない子供がプールに脅えるように脅えるのはカッコ悪いな。
何も恐れずざぶんとダイビングすれば、アラ不思議、ちゃんと泳げるじゃない? 「バタ足金魚」のカオル君みたくメチャメチャなフォームでも。

現在の東京では「普通に」幸福に暮らすことの困難さを誰もがかかえています。
でも私は「幸福」を恐れません。
だって私は根っからの東京ガール、ですもん。



自分には抵抗もある。でもちゃんと意識を持って飛び込めれば、そちらのほうがロマンチックだろうな。