廊下の遠い奥から、鏡がわたしたちの様子をうかがっていた。(深夜には避けられない発見だが)わたしたちは鏡には妖怪めいたものがあることに気づいた。そしてビオイ=カサレスが、鏡と交合は人間の数を増殖するがゆえにいまわしい、といったというウクバールの異端の教祖の一人の言葉を思いだした。
…
ビオイが思いだしていったのは、交合と鏡はいまわしい、だった。『百科事典』の文章ではこうである。それらグノーシス派に属するものにとっては、可視の宇宙は、幻想か、(より正確には)誤謬である。鏡と父性はいまわしい、宇宙を増殖し、拡散させるからである。
ボルヘス - トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス
2011年11月4日金曜日
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